sinarのブログ

映画製作

あるホームレスの話3

あるホームレスの話 ホープマン

◆映画脚本 ホープマン◆ by Takemoto

*注意 著作者に許可無くこの作品を無断で複製、転載

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法律によって禁じられています。

この作品はフィクションであり、実在の人物、団体

事件などとは一切関係ありません。

映画脚本 ホープマン・登場人物

山崎 悟・失業し、妻と離婚。再就職もできず

    ホームレスになった男。息子がいる。

    ホームレス歴1年。元営業58才

天宮忠信・・山奥の寺、西導寺の住職。70代

橘 創二・・西導寺にいる天宮の弟子。35才

原 紀一・・西導寺にいるお坊さん。28才

あるホームレスの話・ホープマン2からの続き

◆映画脚本・ホープマン◆3

◎人里離れた道

山崎、つらそうに道を歩いている。

山崎、出会った人に道を聞く。

◎山道・夕方

山崎、息苦しそうに山道を歩いていく。

と、山寺にさしかかる。

★寺の名前 西導寺

 

◎西導寺・玄関・夕暮れ時

山崎、寺の門をくぐって中に入る。玄関に着いて

声をからせ、人を呼ぶ。

山崎「・・すみません。

  ・・どなたか、おられませんか・・・。」

山崎、疲れのあまり、座り込む。

しばらくして、お坊さん原紀一28才が出てくる。

原、座り込んでいる山崎を見て

原 「どうされました?」

山崎「・・あの、ここの住職に・・会わせて

  頂きたいん・ですが・・・。」

原 「・・大丈夫ですか? 

  少しお待ちください。水を持ってきますので」

原、中に入って、コップに水を入れて持ってくる。

原 「お水どうぞ。」

原、山崎にコップを渡す。

山崎、コップを持って一口飲んで

山崎「・・ありがとうございます。」

原 「・・立ち上がれますか?」

山崎「はい、なんとか。」

山崎、立ち上がろうとする。

原、山崎の体を支えてやって中へ案内する。

原 「住職の方は、ただ今外出しておりますので

  中で少しお休みになって下さい。」

山崎「・・すみません。」

◎西導寺・廊下から部屋

身綺麗になった山崎が原に案内され、部屋に

とおされる。

原 「ここで少し、お待ちください。

  住職が来られますので。」

山崎「はい。 よろしくお願いします。」

原、部屋を出て行く。

山崎、少し緊張した面持ちで座っている。

しばらくして、住職の天宮が、部屋に入ってくる。

天宮「お待たせして、すみませんね。」

天宮、山崎の前に座る。

天宮「私、天宮と言います。お名前の方は?」

山崎「山崎悟と申します。

  いきなり訪ねて来て、申し訳ありません。」

天宮「いやいや、気にしなくていいですよ。

  少し、他の者から話を聞きましたが、

  ずいぶん遠くの方から来られたそうで

  お疲れになったでしょう。」

山崎「・・ここに来る事が、自分に・・必要だと

  思い、来ました。」

天宮「・・ここをご存知だったんですか?」

山崎「はい。昔、雑誌か何かで厳しいお寺だ

  という事を見た覚えがありまして・・」

天宮「ここに、何を求めて来られたんですか?」

山崎「・・私は、死のうと思っていました。

  ・・・今までいい生き方をしたとは

  言えません。自分勝手に生きてきたと思います。

  家庭を失い、仕事を失い、財産も失いました。

  ・・希望も捨てていました。

  でも・・死のうとした時に思いました。

  命を粗末にして何になるのか・・

  逃げたところで何があるのかと。

  ・・・生きなければならないと思いました。

  ・・人生を無駄にしてはいけないと。

  ・・知り合いに助けを求めたんです。

  ・・でも、断られました。

  本当に自分が情けなくなりました。

  ・・頼れる人も助けてくれる人もいない

  ・・惨めな者だと・・。・・自業自得ですが。

  ・・寺や教会にも行ってみましたが、あてには

  なりませんでした。    

  ・・私は、残りの人生を人のために

  役立たせたいと思いました。

  そのために、自分を救わなければと思い、

  それで、ここに来たんです。

  学ぶべき事を学ぶために・・答えを知るために。」

天宮「・・わかりました。あなたが答えを得られる

  よう協力しましょう。

  しばらく、ここで生活しなさい。」

山崎、涙ぐみ、心からの感謝を込めて

山崎「・・ありがとうございます。感謝します。

  ありがとうございます。」

 

◎西導寺・廊下・朝

天宮が山崎に声をかける。

天宮「眠れましたか?」

山崎「はい。おかげさまで。」

天宮「しばらく寺の生活に慣れるのに時間も

  かかるでしょうが、頑張りなさい。」

山崎「はい。」

天宮、少し遠くで寺の掃除をしている橘創二を呼ぶ。

天宮「橘君、こっちに来てください。」

橘、天宮の方に来る。天宮、橘に

天宮「こちら、昨日来られた山崎さん。」

天宮、山崎に

天宮「こちら、橘君。」

天宮、橘に

天宮「山崎さんに寺の方、案内してあげて。あと、

  ここでの生活の仕方、教えてあげてくれますか」

橘 「わかりました。今から、案内しますか?」

天宮「君、仕事の方、いいの?」

橘 「はい。他の者に頼みますから。」

天宮「それじゃ、後よろしく頼みます。」

橘 「はい。」

橘、山崎に

橘 「じゃ、こちらの方にどうぞ。」

山崎、天宮に礼をして、橘の後について行く。

◎西導寺・各所

山崎、橘に案内され、色々な所を見て回る。

山崎、橘について行きながら

山崎「・・橘さんはお寺の住職になる為に、

ここにいらっしゃるんですか?」

橘 「いいえ・・。

  話すと長くなるので、落ち着いて話ができる

  時にいつか、お話しましょう。」

橘、微笑む。

山崎「・・・。」

橘 「・・他に、何かお聞きになりたい事は

  ありませんか?」

山崎「・・お経は、覚えるんですか?」

*あるホームレスの話・ホープマン4に続く